2020.05.19
昨今、「オンライン診療」の普及が進んでいますが、利用する側としては不明な点が多いと思います。
例えば「最初からオンライン診療は利用できるのか?」という点について知らない人が多いです。
ここでは、オンライン診療を初診から利用できるのかどうかについて解説します。
厚生労働省は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」において、初診については原則直接の対面で行うべきである、と示しています。
その理由として、同指針においてオンライン診療では、
・得られる情報が視覚及び聴覚に限られる中で、可能な限り、疾病の見落としや誤診を防ぐ必要があること
・医師が、患者から心身の状態に関する適切な情報を得るために、日頃より直接の対面診療を重ねるなど、医師-患者間で信頼関係を築いておく必要があること
の2つを挙げています。
「『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に関するQ&A」において、以下の回答が示されています。
本指針上における「初診」とは、初めて診察を行うことをいいますが、継続的に診療して
いる場合においても、新たな症状等(ただし、既に診断されている疾患から予測された症状等を除く。)に対する診察を行う場合や、疾患が治癒した後又は治療が長期間中断した後に再度同一疾患について診察する場合も、「初診」に含みます。また、オンライン診療時に(予期せず)新たな症状等が生じていることが初めて判明した場合、オンライン受診勧奨に切り替える等の対応をした後に、対面診療を行う必要があります。
つまり、
・初診=最初の1回の診療、ではない
・新しい症状が見られれば初診に含む
・新しい症状が判明したら対面診療を行う
ということです。
指針においてオンライン診療は原則として初診には適用されないものとしていますが、指針においては「例外」として以下のように示されています。
患者がすぐに適切な医療を受けられない状況にある場合などにおいて、患者のために速やかにオンライン診療による診療を行う必要性が認められるときは、オンライン診療を行う必要性・有効性とそのリスクを踏まえた上で、医師の判断の下、初診であってもオンライン診療を行うことは許容され得る。ただし、この場合であっても、オンライン診療の後に、原則、直接の対面診療を行うこと。
また、2020年に猛威を振るっている「新型コロナウイルス」のケースにおいては、同年4月10日に初診時も含めオンライン診療・電話診療を時限的に容認することを決めています。
このように、必ずしも初診においてオンライン診療が利用できないわけではなく、必要性が認められれば初診であってもオンライン診療を受けることができる可能性があるのです。
基本的にオンライン診療は初診の場合には利用できませんが、必要性が認められるなどの条件を満たせば初診でもオンライン診療で診てもらうことが可能です。
初診でオンライン診療を利用したい場合、オンライン診療を導入している医療機関に問い合わせて、自身のケースが初診でのオンライン診療に対応可能かどうか確認してください。